パ界とは「パソコンの世界」のこと。この進化と変化の絶えることのない世界を、現在の学校教育ではどのように扱えばいいのだろう。聞くところによると、かなりのとまどいと混乱があるらしい。
 無理もないよね。パソコン学という学問分野があったわけでもないのに、数学や技術家庭の先生が急場をしのいでいるというのが現状なんだから。本来ならば、もっと体系的にパソコンの本質を知った上での指導が必要なんだけど、教える側の知識が付け焼刃だから、どうしたってソフトウェアの使い方が中心になってしまう。
 だけど、ソフトウェアというのは絶対的な存在ではないし、普遍的なものでもない。製品によって用法は異なるし、バージョンが変われば仕様も内容も変わってしまう。つまり、その場限りのバブルのような知識に過ぎないのだ。
 そこで、読んでほしいのが 『パソコンLOVE!』 というパ界伝承の一冊。ソフトなタイトルとは裏腹に、中身のほうは純真なほどに硬派で真面目な構成となっている。

 な〜んだ、結局は宣伝か……なんて勘違いされそうだが、なんと新日本プログラミングが自腹を切って全国の中高校にプレゼントしてしまおうというのだから太っ腹!
 ただし、新日プロがつぶれてしまっては元も子もないので、プレゼントは不確定な予算の範囲内。もちろん、予算超過となれば必然的に抽選となる。
 また、応募できるのは中高校の≪パソコン担当の先生≫に限定されるので、誰でもというわけではない。ただ、この企画自体の認知度からして、応募は非常に少ないと予想される。先んずれば人を制す。パ界伝承は早ければ早いほどよいのだ。


 ……という雄大な企画であったが、すでに書籍としての新鮮味も薄れてしまったこともあって、現在では自然消滅という形で終了している。したがって、ここに掲載されている学校名は過去にプレゼントした証として残っているに過ぎない。悪しからず、ご了承を……。

 ところで、その他大勢の方へのパ界伝承は『パソコンLOVE!』の購入だけかというと、決してそんな無粋なことはしない。それが、すでにスタートした『パソコンLOVE!』オリジナル原稿である。
 ただし、非常に長いストーリーであるため、終了時期については予測が立たない。また、前半の内容には従来の『Z80教室』とダブる部分もあるが、これは『Z80教室』のほうを進化させることで対応した。ある意味では、こちらのほうも「乞う、ご期待!」といえよう。
 とにもかくにも、新日本プログラミングが提供する本格的パ界伝承の物語『パカイ・クエスト』をお楽しみください。

パカイ・クエスト

1st Stage:異世界へのパスポート


 よく「旅は玄関を出たときから始まり、旅行は目的地に到着してから始まる」というが、飛行機や新幹線などの交通機関が発達した現代では、ジックリと旅を満喫することは少ないかもしれない。
 だいたい、時間に追われて生活することを余儀なくされていると、すべてにおいて心のゆとりなど忘れがちになって当然。中には、走り続けていないと落ち着かないという、多忙依存症タイプの人さえ大勢いるという。
 この繁雑でせっかちな時代に反逆するかのように、一人の青年が放浪の旅を決意したのだ。その名を園木成康(そのき・なりやす)という生来のノンビリ屋さんだ。
 といっても、行き先は日本各地でもなければ外国でもない。なんと、最先端の文明ともいえるパソコンの世界。旅行会社のパンフレットには、まず絶対に載っていない異次元ワールドだが、果たしてどんな旅が待ち受けているのだろうか……。

Scene 1

アナログ坂とデジタル階段

Scene 2

最小単位のある世界

Scene 3

パ界での数え方

Scene 4

探し求めた記数法

Scene 5

乱立する記数法

Scene 6

バイトで覚えるパ界の情報

2nd Stage:はじめてのパ界クエスト


 たった一人で、初めての海外旅行をするとしたら、どんなに準備をしても心の不安が解消することはないだろう。言葉、通貨、治安、地理、交通、慣習、文化……。すべてを、事前に完璧に把握しておくことなど不可能だ。
 かといって、そんなことをとやかく考えていたら、いつまでたっても国内をウロチョロするばかり。不安を胸に秘めながら、どこかで旅立ちへの決断をしなければならないのだ。
 ただし、添乗員や現地スタッフが面倒を見てくれるパックツアーに頼るのでは、本来の一人旅とはいえない。たとえ一人で申し込んだとしても、それは団体旅行の一員となるだけのこと。お膳立てされたコースに乗るのは一人旅ではない。
 そんなわけで、旅立ちの決断には最低限の予備知識が求められる。どの程度が最低限なのか、それを見極めるにも知識と勇気が必要となる。知識に裏付けられた勇気が備わったとき、本当に心の準備ができたといえるのだ。
 心ならずも絶妙のタイミングで旅立たされた成康は、そういう意味において心の準備が整っていないようで、実は整っていたのかもしれない。

Scene 1

砂よりシリコン

Scene 2

エネルギー小屋の秘密

Scene 3

走り回るCPU

Scene 4

特殊なメモリエリア

Scene 5

キャラジェネの限界