☆ 空を飛ぶムムムッ! ≪初出『ポプコム』'90.11月号≫

 人類にとって、空を飛ぶことは永年の夢であった。この夢は、ライト兄弟によって達成され、今日ではジャンボ旅客機という化物のように巨大な飛行機が大空を飛んでいる。
 だが、果たしてこれで人間が空を飛びたいという夢はかなえられたのであろうか。確かに飛行機は飛んだが、人間は機体の中で地に足を着けている。人類の夢は、鳥のように自由に空中をさまようことではなかったのか?
 ハングライダーやパラグライダーとも違う、そう「ドラえもん」のタケコプターやスーパーマンのマントが人間の本当の夢なのだ。

 実は、その夢がかなったことが、これまでに数度あった。悪者に追われても、スイスイと木の上を飛び回ることができ、完全に空間が自分の支配下になっている……。
 ところが、時間の経過とともに高度が落ち始め、飛び越えられていた塀も越えられなくなってくる。そして、ついには水平飛行をしても、腹が地面をこするような超低空飛行になってしまうのだ。
 立ち上がって、改めてダッシュをしても結果は同じ。だんだんと悪者が近づいてくる。ダメだッ! もう飛べないッ! ワァ〜ッ!
 ……という危ない場面で、その夢はいつも覚める。人間の本当の夢は、本当の夢の中でしか実現できないのだろうか。そして、結果が毎回同じなのはどういうわけなのだろうか。さらに、もうすぐ飛べなくなるということもわかっているに、夢とはわからない。これが、また夢の不思議なところ……。
 聞いてみると、誰しも同じ内容の夢を見たことがあるという。やはり、空を飛びたいという夢は人類の永遠の夢だったのだ。


≪時は流れて……2003年11月≫
 このごろは、飛ぶというより長く跳ぶという夢になっている。ちょうど、走って小川を飛び越えるような格好のまま、グッと息を止め、そのまま力を入れるのだ。すると、アラ不思議。世界記録以上のロングジャンプが……という具合。
 なぜか、これが妙に現実味があって何度見ても夢と気づかない。ただ、ジョギングのついでに「もしかすると?」と思ってやってみても、決してうまくいかない。アァ……。