■ ご挨拶:第72回(2016年4月3日)■

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 本日のご来場、まことにありがとうございます。よく「古き良き時代」といいますが、単に昔を懐かしむだけならともかく、時間をかけて理想を追い求めて現在の便利できれいな生活環境を手にしてきたはずですよね。当然、今のほうが良き時代であって然るべきなのですが、こんなところにも人間の欲が表れているような気がします。
 蒸気機関車の全盛期を知らない世代が、あえて蒸気機関車に乗ってみたくなったりするのは、多分に懐かしさ以上の何かがあるのでしょう。情報にしても「知らないからこそ興味深い」という心理的側面があり、何でもネットで簡単に知ることができるようになって、小さな情報に一喜一憂していた時代の良さに気がついた…なんて温故知新が温新知故(?)になりそうです。
 そういえば、私はいつも夢や目標を追いかけて生きてきましたが、そのプロセスにいるときは早くゴールしたい一心で、瞬間を楽しむなどいう心の余裕はありませんでした。いうなれば、もがき苦しんだ先の楽しみを夢見ていたわけです(←周囲にはそうは見えなかったらしい…)。
 しかし、そうして念願叶って夢や目標を達成できたとき、そこで味わうのは一瞬の満足感とその後に続く長い落ち込みの時間…まるで挫折したかのような「むなしさ」だったのです。
 そりゃそうですよネ。だって長期に渡って追い求めてきた大きなターゲットが、達成するや否や瞬時に雲散霧消してしまうわけですから。次に向かうべき目標が見つかるまで、心にポッカリ大きな穴が開いている状態です。そんなとき、いつも「これまでのほうがよかった!」と思うのです。これもまた「古き良き時代」と同じ心境といえるかもしれません。

 逆に「古き悪しき時代」と思えるのが「おでき」の痛みです。今では、滅多に…というより全くできなくなりましたが、昭和30〜40年代はおできの全盛期みたいな時代でした。横綱栃錦のお尻のおでき治療の絆創膏は有名でしたし、結構「おでき」で悩まされる人は多かったのです。
 実は、私の唯一の外科手術が高校生のときにお尻にできたおできの切開手術で、頂点がないまま大きく膿んでしまったものを外科病院で切ってもらったのです…(初告白!)。
 こんな情けないほど軽い手術しか経験のない私が、なんとこの4月11日に左目の手術を受けることになったのです。黄班上膜という少しやっかいな手術なのですが、お尻のおできをレベル1のスライムに例えると、これはレベル15で出てくる小ボス並みの強敵といえそうです。
 そんなわけで、臆病で経験値の低い「ひよこ勇者」は毎日ビクビクしながら一週間後の闘いに向けて心の調整をしているところです。とってもコワいけど、こういうときの心の備え方だけは知っています。それは…三ヶ月先・半年先をイメージしていればよいということです。そこには畑いじりや大工仕事を楽しみつつ、筋トレをして走っているいつもの自分の姿があるからです…。


〜〜〜〜 ちょっと一言ご挨拶(2016.6.14)〜〜〜〜

 この黄班上膜という病気の症状は「モノが歪んで見える」というもので、碁盤のマス目を見ると中央部がグニャグニャと曲がってしまうのだ。それを自覚したのは5年前(2011年)。ちょうど年間4,326kmを走った年の秋ごろだった。
 汗でサングラスが邪魔になり、真夏の直射日光をギンギラギンに浴びながら、毎日のように2時間前後…倒れ込むまで走っていた。どう考えても、これは紫外線の影響に違いない…と思い込んでいたのだが、医師の判断は「紫外線は波長が短いので網膜まで届かない」ということだった。アレマ…さんざん「バカなことをするから」と周囲からも責められていたのに、これで胸を張れる…というものでもないかナ?
 実は、加齢と共に眼球の中身である硝子体が網膜から離れていくらしいんだけど、なぜかきれいに離れずに一部が網膜にへばりついてしまうことがあるんだって。その残骸が映像の歪みを引き起こしているので、治療するには「手術によって物理的に残骸をはがすしかない」ということなのだそうだ。
 硝子体に関連する手術は白内障の進行が早くなるので両方同時に手術をするのだが、トータルで40〜50分程度はかかっていたみたい。手術前は「咳やくしゃみをしたらどうしよう?」と不安だらけだったけど、実際には息をするのが精一杯の超緊張状態。何しろ、残骸物をはがそうとする注射針(←たぶん)の先端みたいなものが、左右に往復しているのがボンヤリ見えているんだから…。
 そうこうしているうちに、無事に手術のほうは終了して、ごく普通の術後の患者さんのようにガーゼで顔半分を覆われながら帰宅したのであった。あまりにホッとしてうれしかったので、せっかくだからと病院前で記念写真まで撮ってしまった。

 翌日にはガーゼも取れたが、汗やゴミが入らないように保護メガネをかけておとなしく過ごしていなければならない。ところが、これがまた苦痛のタネ。だってジッとしているだけなんだから…ネ。
 というわけで、待ちに待った一週間後から待望のトレーニングを再開。やっぱり暴れて汗をかかないと生きている実感がないみたい…ということで、今日(6/14)もトレーニングに励んだのでした。

※参考
 手術を受けた病院は横浜駅前にある相鉄眼科病院。実は最初に受診した大宮にある某眼科では、ネット上の案内とは違って黄班上膜の手術ができない…のに、まずは片目80万円もするレーザーによる白内障手術を勧めてきた。もちろん丁重にお断りをしたのだが、つくづく病院選びの重要さを実感したのであった。外観が立派な病院より、医師の腕とポリシーが患者の人生を左右するのだ。それゆえに、相鉄眼科病院には全国から患者が集い、いつも混雑している…けど、何かのときには絶対の自信を持って推薦したい。