本日のご来場、まことにありがとうございます。新日本プログラミングとは関係のない個人的な話題ですが、1973年(昭和48年)の6月から12月までの約半年間、大学をあえて卒業せずヨーロッパを放浪していました。この経験がどれほどその後の人生に影響を与えたか、おそらく全く別の思考回路を持った人間となっていたことだけは想像に難くありません。
最初の2か月間こそブライトン(英国のリゾート地)でホームステイをしながら英会話スクールに通いましたが、これは両親に向けた大義名分であり異国への慣熟期間。その後の孤独で自由な放浪がなければ、単なる観光旅行に終わっていたでしょう。ア、ちなみに旅はストイックなほど真面目で純粋なものでしたから・・・誤解のなきよう。
夏のヨーロッパは気候的にも過ごしやすく快適で、中世の名残りをとどめる街並みはまるで夢の国にいるような感じです。しかし、秋が深まってくると夕暮れも早く急激に冷え込んできます。
今日はユースホステルに泊まろうか、それとも夜行列車で別の町に行こうか・・・木枯らしで落葉が舞う中を歩いていると、寂しさと孤独感で旅を終えたくなったりもしました。そんなときよく口ずさんだ曲があります。
♪人は誰もただ一人旅に出て
人は誰もふるさとを振りかえる
ちょっぴりさみしくて振りかえっても
そこにはただ風が吹いているだけ・・・♪
今では教科書にも載る名曲ですが、この情景を晩秋のパリで実際に体験したのです。思い返せば感傷的な名シーンですが、そのときはただ心細かっただけです・・・。
当時は同じような若者が大勢いましたから、点と点でいろいろな偶然の出会い/再会があります。それを書くとキリがないのですが、ユースホステルでは日本人同士で他愛のない話や情報交換をするのが常でした。
旅をしている者にとって訪問した国数というのは一種のステータスですから、たとえ1日でも・・・いや一歩でもいいから「パスポートに足跡を残しておきたい」という小さな願望があります。そんな心情を見透かしたように、とあるユースホステルで出会った日本人旅行者から「簡単なマーケットリサーチのアルバイトをするだけで北朝鮮へ行ける!」という話を聞いたのです!!
当人は日程の都合で行かなかったそうですが、実際に行った人もいるとのこと。そのときは、そういうおいしい話に巡り合うほど強運ではないと実感しただけでしたが・・・こうして思い出すだけで背筋が凍りつくようになったのは、それから30年以上経ってからのことです。
教訓・・・幸運は決して向こうからやっては来ない。やって来るのは災難だけ。改めて・・・今日も元気で平穏無事に眠りにつけることを幸運と思うのであります。