走るほうのキッカケは犬の散歩だったが、これだけでは現在のトレーニングにそのまま結びつかない。そう、走る前にする筋力トレーニングにも何かしらキッカケがあるはず…と思ったら、やっぱりあった。
それはアントニオ猪木への傾倒や、永遠の目標である「いつかはなりたい全盛期のミル・マスカラスの体型」という憧れから発生したものではない。この二人に着目するようになったのは、浪人生活を終えて大学に入ってからのこと。時期的には、それよりず〜っと以前…まだ筋肉など意識の中になかったころの時代だ。
たぶん小学校低学年のころだったと思うが、父親がバーベルと称する重量物をどこからか入手してきた。それは、確かに重量挙げのバーベルと基本的な形状は似ていたが、トロッコの車輪を鉄棒でつないでペンキを塗ったような…本物の香りのしない代物だった。
男は本能的に身体を鍛えようとする動物(←そうでない人も当然いる)なので、父親も遊びがてらにそのバーベルでベンチプレスをしていた。といっても、たかが15kgを数度持ち上げて、それすらもできない子供に自慢をしていただけ。とても、筋トレというレベルではなかった。
そんなわけで、しばらくするとバーベルはトイレ(←もちろん和式のぽっとんトイレ)へ続く廊下の隅に放置されたままになった。その結果、用を足すたびにバーベルが目に入る。ついには柔軟体操のつもりで手を伸ばし、その流れで持ち上げてみようという気になったのだ。
これを筋トレと称してよいかどうかは別にして、いつしかカールを何回とかリフトアップを何回というように、何も考えずにトイレ帰りのルーチンとしていた…というのが、現在へ続く筋トレの原点なのである。
…で、その偽物っぽいバーベルはその後どうなったかというと、壊れることもなく、引っ越しの際に捨てられることもなく、今でもミニ体育館の片隅にチョコンと置かれている。

それにしても、こんな形をしたバーベルは他で見たことがない。鉄のバーは平凡でどこにでもありそうだがが、いったいこの車輪らしきリングは何なのだろう。もはや永遠のナゾである…。