■ピクチャボックス(PictureBox)コントロール

ゲームを作る上において、最も重要視されるのがグラフィックスのコントロールである。もちろん、テキスト文字だけによるゲームというジャンルもないわけではないが、ここではそういった例外的なケースについては触れない。あくまでも、眼前のグラフィックスの変化でゲームを体感する「ごく常識的なゲーム」がターゲットである。

Visual Basic でゲームグラフィックスを扱うとき、絶対的な必需品として登場してくるのがピクチャボックス(PictureBox)コントロールだ。もっとも、これはグラフィックス用として使うだけでなく、コンテナとしても多いに活躍する。コンテナというのは、お盆(食器をのせる平板)のようなもので、その上に配置したものをまとめて管理することができる。しかも、大盆の上に小盆……というように、コンテナの上に別のコンテナを重ねて使えるので画面レイアウトには欠かせない存在なのだ。

当然、PictureBoxをコンテナとして使いながらグラフィックスを表示させてもよい。おそらく、ディスプレイ上にPictureBoxを表示する場合は、こういう複合的な使い方が最も標準的だろう。その一方で、PictureBoxには決して画面に表示されない裏方の役割を担うものも少なくない。というのは、ディスプレイに表示される画像というのは、ロードしたビットマップファイルそのものではなく、それをベースに加工して作り上げたものであることが多いからだ。つまり、素材としてロードしたビットマップの保管場所、あるいは合成などの加工プロセスに使うPictureBoxは、最初から最後まで見えない状態(Visible=False)にあるということ。そして、この[素材の加工]→[画面表示]という繰り返しが、アニメーションを伴ったゲームグラフィックスの基本となっているのである。

ところで、グラフィックスを扱うコントロールにイメージ(Image)というものがある。ツールボックスでのアイコンデザインが似ているので、最初のうちは使い分けに苦慮するかもしれない。しかし、こちらのほうはコンテナとして利用できないだけでなく、画像を部分的に操作するメソッドがないので、ゲームでの利用価値はほとんどない。ただし、原画をイメージのサイズに合わせて自動伸縮(Stretch=Trueの場合)する特徴があり、用途を限定すればそれなりに存在価値はある。要は、作ろうとするゲームでそういったウィンドウがあるかどうかということだ。

こういった画面表示の基本をマスターすれば、ゲーム制作へのファーストステップはクリアしたようなもの。ここから先は、どのようなロジックでどのような画面を表示するのかを考えなければならない。いうなれば、ゲーム本体のアイデアによって進行する世界……というわけである。